セミナー

WCAN 2014 Summerで「ディレクターとして意識スべき、『誰がどうみてもそうとしか受け取れない文書』術」のセミナーをさせていただきました。

ディレクターとして意識スべき、「誰がどうみてもそうとしか受け取れない文書」術

ディレクターとして意識スべき、「誰がどうみてもそうとしか受け取れない文書」術


2014年7月12日、名古屋で開催された「WCAN 2014 Summer」に講師をとしてお呼びいただき、セミナーをさせていただきました。

WCANとは?

WCANとは、Web Creators Association Nagoyaの略で、名古屋を中心としたエリアでWeb制作に携わっている人、Web に興味のある人のグループとして活動しています。

WCANには、2007年に初めて登壇をせていただいて、今回で4回目、それ以外にWCANのショートセミナー的なものが2回させて頂いているので、1.5年ぐらいに一回お話をさせて頂いている感じです。

過去のWCAN関連でのセミナー

  • 2007年:WCAN 2007 spring「Webブランディングを成功に導く思考/アイデアの出し方」
  • 2008年:WCAN 2008 SPRING「Web制作でのプロジェクトマネージメント」
  • 2008年:WCAN Directors Workshop
  • 2009年:WCAN2009 Autumn「Webディレクターとしての経験密度とWebブランディング」
  • 2011年:ベースキャンプ名古屋「Webディレクターとしてのアイデア思考法」

今回のお題のセミナー内容って?

今回は「文書術」ってことで、気がついた方もいるかもしれませんが、内容としては昨年の「神戸ITフェスティバル2013」で話をさせていただきました内容の焼き直しでした。

なぜ焼き直しで同じ内容なのか?というと、別に新しいネタが無いわけではなくて、今これをWebの仕事に関わる人にちゃんと広めていき行きたいって思いがあるからです。

僕がこのメソッド自体が自分なりに腑に落ちて「あぁ、こういうことか」となったのは多分2012年〜2013年ごろでした。

それが分かってから気がついたのですが、メール、提案書、企画書、ワイヤーフレーム、要件定義書、デザイン指示書、BacklogやRedmine、Tracといったチケット管理システムでの開発指示書などなど、ありとあらゆる「文書」をかくことに対してすごく「無駄」が多かったんです。

「無駄が多い」ということは何か問題があるわけです。
その問題とは「自分のやり方が悪いことで仕事に時間がかかっていた」ということになります。

人生の無駄を省くための「文書術」

インターネットができ、メールなどキーボードで文字を打つようになってから、人は自分で「文書」生み出す量が圧倒的に増えたのではないかと思います。
少なくともパソコンが一般的になる前に比べると、同じ「一文字」に対する労力は、手書きの時に比べると圧倒的に下がったでしょう。
キーボードで打つことではるかに早く多くの文字を生み出すことができるようになったからです。

一方で、それ故に「文章を書く」ということ自体、結果として「軽視」されることになったのだと思います。
そしてその「軽視された文書」が広く出回ったことで、「ん?これってどういう意味?」「これって○○ってことだよね(←実は書き手の意図と異なっている)」ということを招き、「え?そういうことだったの?」となり、結果として「取り戻し」「やり直し」といった時間があちこちで増えているのではないでしょうか?

これ自体はやっぱり勿体無いことだなぁ、と思う訳です。
その時間があれば、僕自身の仕事で言うならば、

  • もっとお客さんの仕事のことを考えたい
  • もっといいユーザインタフェースを考えたい
  • もっといいビジュアルデザインを考えたい
  • もっとメンバーがやってて楽しい仕事を作りたい
  • もっとワクワク出来るような次を考えたい

と、本当に思う訳です。

だとしたならば、少しでも分かりやすい文章を書けるようになるのは、きっと「Webを作る仕事」というだけではなく、殆どの仕事において「仕事人」「社会人」として身につけておいて十二分に意味のあるスキルだと思っています。

そういえば「文章」を書くスキル自体ってちゃんと学んだことありますか?

この「文書術」自体のことを考えだしてからすごく思ったのは、小学校〜中学校〜高校〜大学において「文書そのものをどうやって書くのか?」ってこと自体を、ちゃんと授業として教育されたことってないような気がするのです。

ギリギリは「読書感想文」ぐらいで、それ以外で「人にいかに伝わりやすい文章を書くか?」ということは「国語」などの授業でも学んだことがありません。

「日本語」は確かにかけるし「日本語の文章」も書けるけど、「文意が伝わる」文章というのは日本の教育からはもしかしたらごっそり抜けて落ちているのかもしれません。

まず読んでもらいたい「理科系の作文技術」


理科系の作文技術

理科系の作文技術


文書術を話す時に必ず読んでもらいたいのは、この「理科系の作文技術」という本です。

理科系の作文技術の概要説明

調査報告、出張報告、技術報告、研究計画の申請書など、好むと好まざるとにかかわらず、書かなければならない書類は多い。
このような書類を書く際にまず考えるべきことは、それを読むのは誰で、その文章から何を知りたいと思っているかである。それに応じて自分は何について書くか主題を決め、最終的にこういう主張をする、という目標を定めて書き始める。

・・・・・・

といった本なのですが、「他人が読んで分かる文章」を書く上では新書本なのでそれほどページ数も多いわけではないのに、ものすごく分かりやすい本です。

自分の文章に自信が無い方は絶対に読んだ方がいい超優良図書です!

最初に「スライドはお渡ししません」とお伝えしたこと

今回私はセッションの冒頭に「スライドはお渡ししません。頑張ってメモしてください。頭を使って考えて下さい」とお伝えしました。

それは僕の話は特に「技術的な話」ではないので、「一言一句間違えずに理解することが重要なのではなく、何が重要で何がいいたいことなのか、それを自分の仕事にどのように使うのか、使えるのか?ということを考えられるようになること」が何より重要と思っています。

だってディレクターに仕事ってはっきりとした「正解」はなくて、常に「これでいいかな?」「これで間違いはない・・・はず」と迷いながらもジャッジをしていかなければならないのだから。

とした時に「スライドを後から提供する」というのは「今は考えなくてもいい、だってセミナー終わってからゆっくり見たらいいから」という思考を招く事にしかならないと思っています。

最近のWeb界隈のセミナーでは終了後に「セミナーのスライドは、みなさんに後でPDFとかで提供をします」的な流れが多いです。
僕はこの流れは「それってどうなのよ?」派だったりします。

その手の話は以前にもこのブログで何回か書いていて、

で書いているとおりです。

ですので、特にディレクションに関わるセミナーではスライドの提供をあえてしない、としていたりもします。

それもあってか、今回私が話をしている間、前から見ている限り、比較的多くの人が、何かしらキーボードなり手書きのメモなりを頑張って取ってくれていたように見えました。

せっかくセミナーで会場まで来てお金を払い、休日を潰しているのに、「今この時間に学べることは全て学ばなければ勿体無い」という心持ちでなければ、その人は後でPDFを提供されたとしても恐らく「いやーいい話だった」以上ではなく、セミナーに来たのも「俺、セミナーいって勉強してんだぜ」以上のものにはならないでしょう。

その多くの人の精神的な満足度のためだけに「終わった後にセミナースライドを提供します」というのが横行しているとさえ思っています。
要は本を「買って満足」しているのと同じ状態な訳です。(僕も物理的な時間の関係で積ん読状態になっている本が多いですが・・・それはまた別の機会に話します)

もしPDFが提供されなくて「せっかくお金を払ったのに学べなかった」という人がいるのであれば、

  • 一番聞きやすいところに席を陣取りましたか?
  • 対価の分だけ吸収を「意地でも」「これを聞き逃したらこの後の仕事に影響が出るかも?」「これを聞き逃したら、ちゃんと聞いていた人は給料があがり、相対的に自分の給料は下がるかも?」といったぐらいの気持ちでやっていますか?
  • 途中で眠たくならないように、前日から体調を万全にしてきましたか?

と言いたい。

僕はそのセミナーに参加している時間内、もっと言えば「セミナーに参加している時間『だけで』」吸収できるだけしたいので、多くのセミナーでは「一番前に座る」んです。

セミナーに限らず大学以上の教育に関する場というのは、「学んでもらう場を提供」するのであって「学べたことを担保」してくれる場ではないと思っています。

ということで、恐らく参加者には「え?もらえないの?」「なんでPDF提供してくれねーんだよ(怒)」と思った方もいるとは思いますが、ご理解をいただければと思っています。

Twitterの「#wcan」や終わった後の懇親会での話からその先の話

タイトルが大分地味なので、このセミナーは何回かさせていただいているのですが、毎回結構ドキドキしながら話をしています。

ただ、今回のセミナーでは、Twitterで#wcanのタグの内容とか、終わった後の懇親会(二次会が13日の1時40分ぐらいまで続いた(笑))とかで感想をお聞きする限りは、そこそこ良かった模様で安心しました。

個人的には「気付きがあった」とかの感想は、なんとなく「うーん、そうではなくて」感があって、「得られた気付きをどのように昇華させましたか?」ってのが重要だよね、とは思っていたりします。

その意味では、実際にはセミナー終わって実践してみて「役に立っています」って言われるのが一番うれしいので、もし何かしら役にたって使えそう、と思った方々いらっしゃたら是非使い倒してもらいたいと思っています。

そして僕は自分の話は「意識を切り替えないと確かにするのは面倒だけど、確実にだれでも出来る」話であって、「名村だから出来ている」話をしないように、過去のセミナーから常々意識してお伝えしていたつもりです。

もし参加された方で「使えそう」と思った方がいたら是非「使って」ください。
そして使った感想を教えてもらえると、かなり嬉しいです。

東京で最近開催のセミナーとWCANの違い

とはいえ、実は久しぶりの名古屋のWCANで話をさせていただくことは個人的にはスゴイ楽しみにしていて、今回実際にとても楽しかったです。

最近東京とかではWCANのような大部屋でディレクション系の話をさせていただく機会はもう殆どなくて、しかもディレクション系のネタって集客が難しいらしく「そりゃセミナー主催の人もそれ系のネタではやらないよね」と思ったりもしています。

だからこそ地方とか企業内での数日間での「ディレクター養成講座」の方が需要が大きいんだと思います。

といった中で今回声をかけてくれたアップルップルの山本さん、本当にありがとうございます。

久しぶりにWCANにきて、自分の番が終わった思ったのは、一日でいろいろな職域の方が登壇するセミナーって東京じゃ最近ないなーと、ということ。

東京では最近、特定の職域や技術をテーマとしたセミナーが殆どで、「マークアップの話とSEOの話と企画の話とサーバの話」なんての一日で行われる、というのは最近殆ど見なくなった。

ターゲットが異なるんだからある意味当たり前なのは分かるし、テーマが集約されていた方が学ぶ方もより深く学べるというのも分かる。
でも、専門性が高い人ばかりがセミナー会場にも懇親会にも集まり、職域や考え方に広がりが生まれないなぁ・・・と思う訳です。

Webの仕事でいえば、個々最近は専門性が高くなってきていることもあり分業、というのは進んでいるでしょう。

ただ、それでも多くの制作会社では、複数の職域を相乗りしていることが多く、だからこそ、自分の近隣の職域の人とかと話が出来る方が、自分自身の仕事や、考え方・ものの捉え方も広がると感じています。

懇親会にしても専門性が高い人ばかりが集まっているので、確かに色々な話は出るでしょうけど、やっぱり広がりが弱いように思うんです。

昔は技術や職域を超えた人があつまるセミナーもあって、参加者も本当にいろいろな立場の方が多く、その結果として自分自身がいろいろな考え方に触れたりすることも出来ました。(その意味においては「Web標準の日々」とか超面白かった)

その意味ではWCANはそこがまだ色々交じり合っている、というのはとてもいいバランスなように思えました。

文書術に関するセミナーのご要望お待ちしています

この「ディレクターとして意識スべき、『誰がどうみてもそうとしか受け取れない文書』術」ですが、お引き合いをいただける限り、セミナーでも企業内の研修など、どこでもお話をさせていただこうと思っています。

もしご要望、ご希望があれば、遠慮なくFacebookやTwitter、またサービシンクのサイトのお問い合わせフォームなどからご連絡をいただければと思います


著者・名村晋治のプロフィール

名村晋治

株式会社サービシンク

代表取締役 / テクニカルディレクター

名村晋治

不動産業界に特化したWebサイト制作・システム開発をおこなうサービシンクでプロデュース、ディレクションからテクニカル・ディレクターまでを担当。
元プロの声優であり、Webディレクターとして22年のキャリアを持つ。
(詳細は下の「詳しいプロフィール」をクリックしてみてください。

Webブランディングの入門教科書」、「変革期のウェブ」を毎日コミュニケーションズから出版してます。

詳しいプロフィール

大学二年生の96年からWebの制作集団ネイムヴィレッジを主催。
大学卒業の99年までの間に100社ほどのサイト制作の企画、ディレクション、デザイン、Perlでの開発、マークアップに携わる。
大学卒業と同時に俳優になるために上京し俳優修業開始。
2000年からは俳優修業の傍ら不動産検索サイトHOME'Sを運営している株式会社LIFULL(旧:ネクスト)に合流。
俳優としては、舞台演劇、プロの声優としても活動したが最終的30歳を目前に足を洗う。

2005年に株式会社LIFULLが自社媒体に注力するためSips業から撤退する事をきっかけとして、代表の井上とシェイクハンドをして退社。

2005年から株式会社ソナーに合流し取締役なども歴任し不動産業界のサイト制作のディレクションからフロント実装を担当。

2010年1月12日から株式会社サービシンクを立ち上げ、代表取締役に就任。
不動産業界に特化したサイト制作のアートディレクション~HTML実装設計~システム設計のすべてに携わるジェネラリスト。
基軸としてはクライアントの商売に寄り添うために、徹底的に思考を巡らせるためのディレクションを行う。
Webブランディングの入門教科書」、「変革期のウェブ」を毎日コミュニケーションズから出版してます。

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