「Claude CodeにObsidianを組み合わせるべきだ」というSNSの声に飛びつく前に、確認しておくべきこと

「Claude CodeにObsidianを組み合わせるべきだ」というSNSの声に飛びつく前に、確認しておくべきこと

最近、Xを始めとしたSNSでは、

  • Claude CodeObsidianを組み合わせることが最強である」

  • 「これを知らない人はAI活用ができていない」

といった主張が散見されます……

これまでもWeb制作や開発を30年続けてきた中で、新しい技術や手法が登場するたびに、こうした「煽り」に近い情報発信を数多く目にしてきました。

結論からいえば、「Claude CodeにObsidianを組み合わせるべき」という主張には正しい部分も含まれていますが、そのまま鵜呑みにして導入するのは早計なんじゃないかと思っています。

と言っている僕自身はナレッジマネジメントツールとして「Evernote(これがすごい長かった)」→「Roam Research」→「Obsidian」と移行していって、現在は記載の通り「Obsidian」を使っています。
ちなみに私はNotionも何度かチャレンジしたのですが、どうしても肌になじまず使えませんでした。できることが多すぎて「使い方の最適化」を考え出してしまい、「とりあえずメモを入れておく」というのが出来なかったのが大きな理由です。

ただ、私が自分の開発環境に対して「実際にObsidianを導入すべきか?」を結構マジメに検討したのですが、別にわざわざ『Obsidian』を導入する必要はないよな…という結論に至りました。

ただこれは「Obsidianを使うのが間違いである」という意味ではないです。

「Obsidianを使うことの本質を理解した上で、自分の環境に必要かどうかを判断するべき」という意味です。そしてその判断には、エンジニアとしての知識・スキル・経験が必要になってくると感じています。

この記事では、私が実際にどのような検討プロセスでこの結論に至ったのか、そしてその過程で見えてきた「生成AI時代における情報精査の重要性」について書いていきたいと思います。

SNSで主張されている「Claude Code + Obsidian」の論旨

まず、SNSや一部のブログ記事で主張されている内容を整理しておきます。要旨としては概ね以下のようなものが多いです。

  • Claude Codeにも文脈がある。Codexにも文脈がある。通常のチャットにも文脈がある

  • それぞれが別々に動いていると、結局人間が毎回つなぎ直すことになる

  • だからこそ、それらを外部の「共通記憶」に持たせるべきだ

  • そのためにデータの実体がローカルにあるマークダウン形式のファイルで管理されているObsidianがとても親和性が高い

  • 2つ以上の、特にClaude CodeやCodexなどのようにローカルマシンの操作ができるAIにたいして同じ記憶を見られることはとても強みになる

  • 結論:Claude CodeかCodexかで迷う前に、まず『Obsidian』を入るべきである

主張自体は論理的に筋が通っているといえると思います。

「記憶の外部化」という観点で見れば、確かに正しい問題提起じゃないかと思います。AIエージェントが複数になればなるほど、それぞれの文脈をいかに共有するかが運用上の課題になることは間違いありません。

私は2026年5月5日時点ではClaude Code一択で進めています。しかしこの2年ほどの生成AIの動きを見ていてもClaude一強というのはそう長くは続かないでしょう。その時に「次の優位な生成AIに移行できる」ことには常に意識を持っています。

しかし、ここで一度立ち止まって考える必要があります。それは「Obsidianを使う」というのは、その問題を解決する一つの手段に過ぎないということです。

「記憶の外部化」というテーマの本質

SNSの主張、といっても日本語で得られるその多くは、海外の英語記事で派手めにみえるものを日本語に翻訳して「使わないとやばいよ」「これを知らないと置いていかれるよ」という煽りの調味料を追加したものがそのほとんどですが、内容を読み解くと以下のように整理できます。

  • 課題:複数のAIエージェント(Claude Code、Codex、通常チャット)を使うことで文脈が分断されている

  • 解決:外部に共通記憶を置く

  • 実装:Obsidianを使う

つまり、本論としてのいいたいことは「外部に共通記憶を置く」ところにあり、『Obsidian』はその実装手段の一つに過ぎません。

であれば、外部に共通記憶を置く方法はObsidian以外にもあるはずですしあります。実際、Claude Codeを使い込んでいる開発者の多くは、すでに別の方法で、しかも同じ問題をObsidianを使うよりも遥かに容易で生成AIの横渡にも耐えれるように解決しています。

私が実際にやっていた「記憶の外部化」

私自身は、Claude Codeを使い始めた早い段階から、以下のようなファイル群をプロジェクトごとに作成・更新する運用を確立していました。

  • CLAUDE.md:プロジェクトの全体方針、コーディング規約、技術的制約、ドメイン知識を記述する。Claude Codeが起動時に自動で読み込む

  • HANDOVER.md:作業セッション間の引き継ぎ書。今どこまで進んだか、何を決めたか、なぜそう決めたか、次に何をやるかを記述

  • README.md:プロジェクトの概要、セットアップ方法、依存関係、運用上の注意事項を記述

さらに、グローバル設定として~/.claude/CLAUDE.mdに「全プロジェクト共通の方針」を記述しています。

これらのファイルはGitリポジトリに含めて管理されています。そのため、別のマシンでリポジトリをcloneすれば、ファイル群もそのまま同期されます。

またグローバル設定として~/.claude/CLAUDE.mdには「GitへのPush/Commitの前に必ずプロジェクト単位のCLAUDE.md、HANDOVER.md、README.mdを更新すること」という命令を加えていますので、特に意識をすることなく共有するべきドキュメントを更新をしています。

SNSで主張されている「Claude Code + Obsidian」を見たときに最初に感じた違和感は、「あれ、これ、似たようこと、僕はもうやってるんじゃね?」という感覚でした。「外部に配置する」という意味であれば、Obsidianというツールを使っていないだけで、機能としては同じものを既に運用していたのです。

比較してみる:Obsidian方式 vs ファイル直置き方式

両者を比較してみましょう。

Obsidian方式の特徴

  • 専用のメモ管理アプリケーションを使う

  • すべてのプロジェクトの記憶を一つのVault(保管庫)に集約できる

  • プロジェクトを横断した検索や知見の蓄積に強い

  • AIエージェントから読み込ませるためにはMCPサーバー等の追加設定が必要

  • リポジトリ外の場所に記憶が分散する

ファイル直置き方式(CLAUDE.md / HANDOVER.md / README.md)の特徴

  • 各プロジェクトのGitリポジトリ内に直接配置される

  • プロジェクト固有の記憶がプロジェクト内に閉じる

  • リポジトリをcloneすれば記憶も一緒についてくる

  • Claude Codeが標準で自動読み込みする

  • プロジェクトを横断した知見の蓄積には弱い

両者には明確に得意・不得意があります。これを踏まえた上で、自分にとってどちらが適しているかを判断する必要があります。

私の判断:Obsidianは不要

私が今回出した結論は「Obsidianは不要」というものでした。理由を順に書いていきますね。

理由1:すでに同じ機能を別の手段で実現している

これは先ほど書いたとおりです。CLAUDE.md / HANDOVER.md / README.mdの三層構造で、「現在地」「判断理由」「次のアクション」「プロジェクトルール」「概要」がすべてカバーされています。これ以上に何を書くべきかと問われると、特に思いつきません。(開発的な観点で必要な時はPLAN.md、SPEC.mdやTEST.mdも作っています)

つまり、「記憶の外部化」という本質的な課題は、すでに解決済みなのです。

理由2:記憶がコードと同じリポジトリにある利点が大きい

これが私にとって最も重要な点です。私はWebシステム開発を30年やっていますが、「コードと、そのコードに関する文脈情報は、同じ場所にあるべき」というのは強く信じている原則の一つです。なぜなら「分けて管理をすれば『見る・見ない』の確実性がどんどん失われるから」です。

規模が大きいシステムで長年の運用になってきたら「実装の詳細仕様を懇切丁寧にドキュメントまとめる」ことすらナンセンスと思う所があります。それは「開発の時に辞書のような書類の束をみて、それを全部記憶して開発をする」のは不可能であり、結局「記憶」に頼ることになるのは不確実性を伴うからです。

それならば、「本当に重要な忘れてはいけないことはコード中にコメントアウトで書き込んだ方がよい」と考えています。それは「そのメモをみる確実性が上がる」ことと、「ソースコードと一体になっているから」です。

現在私がやっているファイル直置き方式では、以下のようなメリットがあります。

  • Gitで履歴管理される。誰が、いつ、なぜそう書いたかが追える

  • リポジトリをcloneすれば自動的に記憶も入手できる

  • 別マシンに環境を移行してもファイルが必ずついてくる

  • プロジェクトをアーカイブする際、記憶も一緒にアーカイブされる

  • マシンを買い替えた際の移行が容易

一方、Obsidianを使う場合、Vaultとリポジトリは別管理になります。これは「コードと文脈を分離する」設計思想を意味します。私の経験からすると、これは将来的に「Vaultが古い」「リポジトリが古い」というズレを生む温床になります。

また複数人で開発をする場合には「Vault」の共有も必要になってきて、その管理だけで手間が増えます。また「一案件一Vault」でなければ他者と共有するにも困難でしょう…。つまりは「一人でやっているなら」という前提になり、それは到底仕事に耐えられるものではありません。

理由3:AIにとっての読み込みコストが低い

Claude Codeは標準でCLAUDE.mdを自動認識します。

その上で~/.claude/CLAUDE.md(グローバル)、プロジェクト直下のCLAUDE.md、サブディレクトリのCLAUDE.mdを、ファイル参照時に動的に読み込むように設計されています。

これに対して、ObsidianのVaultをAIに読ませるには、MCPサーバーの設定や、Vaultへのアクセス権限の調整など、追加のレイヤーが必要になります。

「同じ目的」を達成するために必要な設定の量を比較すれば、CLAUDE.md方式の方が圧倒的にシンプルです。

理由4:「単一の真実源(Single Source of Truth)」が崩れない

Obsidianを足すと、「Vault側のメモ」と「リポジトリ側のCLAUDE.md」のどちらが正なのかという問題が発生します。両方ともに記述があった場合、どちらを信じるべきか。両方を更新する運用にしても、必ずズレが発生します。

ファイル直置き方式では、リポジトリ内のファイルが常に正です。これは運用上のシンプルさを保つ重要な要素です。

では、Obsidianが価値を発揮する場面はないのか?

ここで誤解されないように書いておきますが、Obsidianが価値を発揮する場面は確実に存在します

例えば以下のような場合です。

  • プロジェクトを跨いだ知見・判断・パターンを横断検索したい場合

  • コードリポジトリを持たない作業(経営判断、戦略メモ、業界調査など)の記憶もAIに参照させたい場合

  • 個人の知的生産物(読書メモ、講演記録、podcast企画メモなど)と業務記憶を統合したい場合

これらの用途であれば、Obsidianは確かに有用です。しかし、これらは「プロジェクト内の作業記憶」とは別の用途です。プロジェクト内の作業記憶については、プロジェクトディレクトリ内に配置する当該プロジェクト用のCLAUDE.md、HANDOVER.md、README.md作成方式で十分です。

つまり、SNSで主張されている「Claude CodeとObsidianを組み合わせるべき」というのは、「プロジェクトを跨いだ知見の蓄積をしたい人にとっては正しい」けれども、「プロジェクト内の記憶外部化が目的の人にとっては必須ではない」ということになります。

なぜこのような「煽り」が生まれるのか

ここで一歩引いて考えてみたいのは、なぜSNSで「Claude Code + Obsidianを使うべき」というような断定的な主張が流通するのか?ということです。

もう釈迦説法な気がしていますが、いくつかの構造的な理由があります。

理由1:「知らない人が多い」を逆手にとったポジション取り

「これを知らない人は時代遅れだ」「導入していない人は損をしている」というメッセージは、エンゲージメントやコンバージョンを集めやすいです。自分のSNSアカウントフォローや情報商材への流入など。しかし、本質的には「読者の不安を煽って自分の価値を高める」という古典的な手法に過ぎません。

理由2:実装手段と本質を混同した発信

「記憶の外部化」という本質的な課題と、「Obsidianを使う」という実装手段が混同されて発信されています。本質的な課題は誰もが解決すべきですが、実装手段は人によって最適解が変わります。

この場合「Obsidianを使う」という「知らない人には知らないけど、なんか便利そうな新しいツール」感があり「それを使うことで人より先んじた解決策を持っている」という銀の弾丸を得た気分醸成も補完している気がします。

理由3:書き手自身の経験を一般化した発信

書き手にとってはObsidianが最適解だったのかもしれません。しかしそれを「全員にとっての最適解」として発信してしまっています。これは情報発信としては不誠実です。

理由4:Hot Takeが拡散しやすいSNSの構造

「みんなにとって最適解はバラバラです」というメッセージは拡散しません。「全員Obsidianを使うべきです」というメッセージは拡散します。SNSのインセンティブ構造そのものが、断定的な発信を促進してしまっているのです。

情報精査における「エンジニアの判断力」の重要性

この経験を通じて改めて感じたし、実感したのは、生成AIやAIエージェントがいくら優秀になっても、それを使う人間の判断力こそが重要だということです。

Claude Code、Codex、その他のAIコーディングアシスタントは、確かに非常に優秀です。コードを書く能力、設計を提案する能力、デバッグを支援する能力、いずれも数年前と比べると格段に向上しています。そしてもはやそれなしではIT業界は成立しない、と言ってもいいぐらいになっています。

しかし、これらのツールを「どう使うか」を決めるのは人間です。
そして「どう使うか」を決める際には、以下のようなスキル・知識が必要になります。

必要な判断軸1:本質と実装手段を切り分ける力

「Obsidianを使うべき」という主張に対して、「では、解決したい本質的な課題は何か?」「その課題に対するObsidian以外の解決策は何か?」と問い返す力です。

これがないと、SNSで流れてくる情報をそのまま受け入れて、自分の環境に不要なツールを次々と導入してしまうことになります。

必要な判断軸2:自分の現状を正確に把握する力

「自分はすでにこの問題をどう解決しているか?」を客観的に評価できる力です。

私の場合、CLAUDE.md / HANDOVER.md / README.mdの三層構造で問題が解決済みであることを認識できたから、Obsidianを導入しないという判断ができました。

しかし、自分の現状を正確に把握できていなければ、「とりあえず話題のツールを入れてみよう」となりがちです。結果として、ツールが二重三重に積み重なり、運用負荷が増大します。

必要な判断軸3:将来のメンテナンス性を予測する力

「この設計を採用すると、1年後に誰がどう困るか?」を予測する力です(IT業界的には1年後でも流動的なので、5年後とかは未来過ぎて分からない領域なので、1年後としています)。

私が「コードと記憶は同じリポジトリに置くべき」と判断したのは、過去30年で「分離した設計のよって後から痛い目を見る」事例を山ほど見てきたからです。仕様書をどれだけwikiなどにまとめても「読むことができる」「どこに書いているかが瞬時に理解できる」状態でないドキュメントは無価値であり、中〜長期間的には書くこと / 作ることへの自己満足の結果になってしまいます。

新しいツールやサービスは、導入時には魅力的に見えます。しかし、それを3年、5年と使い続けるとなると、メンテナンスコストや移行コストが必ず発生します。これを予測する力は、経験を積んだエンジニアでないと持ちにくいものです。

必要な判断軸4:トレードオフを言語化する力

「Aを採用するとXは得られるがYは失う。Bを採用するとYは得られるがXは失う」という構造を明確に理解する力です。

SNSの煽り記事は、トレードオフを意図的に隠します。「Obsidianを使えば全部解決」のような主張をします。しかし現実には、必ずトレードオフがあります。これを自分で言語化して比較できないと、煽りに乗ってしまいます。

副次的に得られた重要な気づき

今回、この検討を真剣に進めた結果、副次的に「もう一つの実装課題」が見えてきました。
それは、「Codexを併用する場合、Claude Codeで読み込むファイル群をCodexでも流用できるようにしておく」という観点です。

CodexはAGENTS.mdというファイルを標準で読み込みます。Claude CodeはCLAUDE.mdを標準で読み込みます。両者を併用したい場合、同じ内容のファイルを二重管理するのは非効率です。

ここで取った解決策は、「各階層のCLAUDE.mdに対して、同階層にAGENTS.mdをシンボリックリンクとして作成する」という方式です。これにより、実体ファイルはCLAUDE.md一つだけで、Codexからアクセスする際は自動的にAGENTS.mdを通じて同じ内容を読むことができます。

ただし、ここでもSNSも情報に安易に乗らずに事実確認をすることが重要でした。具体的には以下のような点を、実際にCodexの公式ドキュメントを読んで確認しました。(※2026年5月5日時点の内容です)

  • Codexは確かにAGENTS.mdを読み込む

  • 各階層のAGENTS.mdを階層的に読み込むが、Claude Codeの動的読み込みとは挙動が少し違う

  • Claude Codeは「ファイル参照時に動的に子階層のCLAUDE.mdを読む」が、Codexは「現在の作業ディレクトリまでの直線パス上の各階層を読む」

  • そのため、シンボリックリンク方式は基本的に有効だが、サブディレクトリ構造によっては挙動の違いに注意が必要

このように、「同じファイルを共有する仕組みは作れるが、AIエージェントごとに挙動の差があるので、その差は理解した上で運用する」というのが正しい姿勢です。

「シンボリックリンクを作れば全部解決」というような単純な話ではないのです。

またCLAUDE.mdをGit管理している場合にはそのGitレポジトリを運用している人全員に影響が出る話でもあるので、利用者間でファイルの競合などが起こらないように留意する必要があります。

「とりあえず流行に乗る」のリスク

ここまで書いてきたことを踏まえて、私がお伝えしたいことを整理します。

生成AIの世界は、変化のスピードが非常に速いです。
新しいツール、新しい手法、新しい組み合わせが、毎週のように発表されています。SNS上では、それらに対して「これが最強」「これを知らないと損」という煽り文句が次々と流れてきます。

しかし、これらの情報に一つひとつ反応して導入を進めていったら、皆さんの開発環境は秒で破綻します

ツールを導入することにはコストがかかります。導入の手間、学習の時間、運用の負荷、他のツールとの整合性確認、トラブル時の調査時間、そして将来的な移行コスト。これらすべてを支払うだけの価値があるかを、毎回冷静に判断する必要があります。

特に、すでに動いている開発環境に対して新しい要素を追加するというのは、想像以上にリスクのある行為です。動いているものを壊さないというのは、エンジニアにとっての基本中の基本です。

Webディレクターやエンジニアとしての判断力こそが資産

今回の経験を通じて、私は改めて「情報に対する判断力」の重要性を認識しました。

生成AI、Claude Code、Codex、これらのツールは確かに優秀です。コードを書く能力に関しては、エントリーレベルのエンジニアを軽く凌駕する場面も多々あります。

しかし、「何を作るべきか」「どう設計するべきか」「どのツールを採用するべきか」「いつ採用するべきか」「何を採用しないべきか」を判断するのは、依然として人間の仕事です。そしてこの判断には、Webディレクターやエンジニアとしての知識・スキル・経験が不可欠です。

特に、「この情報は採用しない」という判断は、経験の浅い人ほど下せません。「みんなが使っているから」「SNSで話題だから」「便利そうだから」という理由で導入を進めがちです。

経験を積んだエンジニアは、「これは自分には不要」「これは将来的に負債になる」「これは別の方法で解決できている」という判断ができます。この判断力こそが、生成AI時代において人間が提供できる最大の価値だと、私は考えています。

終わりに:情報精査というエンジニアリングの基本

今回、「Claude CodeとObsidianを組み合わせるべき」というSNSの主張から始まった検討は、結果として冒頭で書いたように「自分の環境にはObsidianは不要」という結論に至りました。

しかし、この結論自体よりも重要なのは、その結論に至るまでのプロセスです。

  • 主張の本質を見極める

  • 自分の現状を正確に把握する

  • 採用しない場合の機会損失と、採用する場合のコストを比較する

  • 将来のメンテナンス性を予測する

  • 事実関係を一次情報で確認する

  • 副次的に発見した課題(CodexとAGENTS.mdの関係)にも対応する

このプロセスは、これまでの仕事の中で、繰り返し繰り返し実践してきたものです。新しい技術、新しいフレームワーク、新しい手法が次々と登場する中で、「何を採用し、何を採用しないか」を判断し続けてきました。

それこそ今では懐かしく思えるのは、2002年〜2003年ごろの「CSSレイアウトを採用するか否か」もまた然りです(最近の若い方には何を言っているのか分からないとおもいますが(笑))

生成AIの世界においても、本質は変わりません。情報精査という仕事の基本を、これまで以上に丁寧に実践することが求められています。

SNSで「これが最強」という主張を見たら、まず立ち止まってください
本当に自分にとって最適なのか。すでに別の方法で解決していないか。導入することで失うものは何か。これらを冷静に判断する習慣を持っていただきたいと思います。

そしてそのためには、クリエイターとしての知識・スキル・経験を、AIに丸投げせずに、自分の中に積み上げ続けることが必要です。AIは強力な道具ですが、道具を使う人間自身が成長することをやめてしまっては、本末転倒になります。

私自身、これからも生成AIのツールを積極的に使っていきますが、同時に「使う側の人間としての判断力」を磨き続けていきたいと考えています。

著者写真
この記事を書いた人
名村晋治 / 株式会社サービシンク

都内のWeb制作会社のWebディレクター兼代表取締役。 1994年にインターネットに出会い、1996年、学生4名でのWeb制作事業をはじめ、Web黎明期から多くの大手企業のサイト制作・開発に携わる。 2000年から2005年までは不動産検索サイト「LIFULL HOME"S」を運営する株式会社LIFULL、2005年から2009年までは都内のWeb制作会社の取締役として参画し、2010年に株式会社サービシンクを立ち上げ、代表を務める。 現在もWebディレクターとして現場でのPMを行う。 経験案件規模は直請けで10万円〜3億円。 過去900人以上が受講している「Webディレクター育成講座」は2000年より開催し今年で25年目。 2020年よりWebクリエイターへの情報提供のためのPodcast「Webディレクションやってますラジオ」を毎週金曜23時に配信中。 不動産テック協会 理事 2023年慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)取得

@yakumo

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