仕事の雑感

「ゆるブラック」時代にどの様に成長をしていくべきなのか?


PRESIDENT Onlineにこんな記事がありました。


「成長」という部分はここ数年の間で価値観とか捉え方が大きく変わってきていると思っています。その1つの大きな例でもあると感じたので、この件を深掘りしてみたいと思います。

▼目次

この記事の文字だけを見ていると読み違いそう…

この歳になったのでなんとなく分かるようになったのですが、この記事の「自らの成長が期待できるか」は人によって良い取り方が大きく変わると思いいます。
そして、危険だと思っているのはものすごく「自分に都合のいい読み取り方」をする人が居そう、ということです。 なぜなら、この単語自体が抽象度が高いため、多くの人が恐らく記事が意図していない方に迎合しそうなんです。

そもそも「成長」するということは…

そもそも「自らの成長」なんて、度合いを別にすれば、その気があれば誰でもできます。一方で「特定の環境にいることでできる成長」というものも確かに存在します。

しかしならば、どちらにしても自己の成長を促す起点になるのは「自分の意志」です。
それ以外にはありません。

そういう話しになると、例えば「厳しい部活に入ったことで、自分は成長できた。そこは部活の強制力があったからであって、自分はいやいやだったし、自分の意志なんかは全く無い!」という人がいるかもしれません。
ですが、そもそもその部活に「入部した」のは自分の意志ですし、「辞めない」のも自分の意志です。なので「受け入れている」時点で、それは自分の意志です。

記事を読んでやってしまいそうな誤読とは?

冒頭の記事を読んで怖いと思ったのは、「自らの成長が期待できるか」の解釈です。 これを「上げ膳据え膳で自分を成長させてもらえるものである」と読み取る人が出てくる気がします。

会社という組織でいえば、これは基本的なスタンスとして「ありえません」。
成長は自らするものです。

難しいのが「業務に必要なスキル・知識」の習得なのですが、これも「会社が教えざるをえない」ものという観点があるかもしれません。しかし、それは極論は「その企業だけの用語、機材等の使い方」といった部分に集約されてしまいます。
それ以外のスキルや知識なんて、基本的には全部「自学学習」で習得できます。

ですが、そういった「社会人として必要と思われるすべての知識やスキル」は会社が教えるべきだという論調の人が一定数いて、その人達にとっては「自分の成長は会社が教育をすることでなし得られる」と考えているかもしれません。

恐らくそういう人が成長出来ていない場合、「会社が自分を育ててくれないから、自分は成長できないのだ」と判断して、退職をしたりするのだと思いますし、その思考のままだと「ここも育ててくれなかった…」といい、結局ジョブホッパーになってしまうでしょう。

成長には、自分の智慧と知性が必要になる。

成長には「環境」の要素はもちろんあるのですが、もっと重要なのは「その環境を自分がどの様に使うか?」です。
そのためには智慧と知性が必要になります。これこそが「行きていく智慧」の1つだとも思います。

社会人になっても、幼稚園児に教えるように手取り足取り丁寧に教わらないと「育たない人」は、仮に成長してもその速度は遅いし、目端の効いた人にはどんどん抜かれて行きます。

社会人になった以上、全員がよーいどんの競争をしているので、手をとって貰わなければならない人は、自走できる人より速度が上がることは絶対にないからです。

ただ、これは「手をとって貰わないと行けない人」を排除している訳ではありません。そういった方もいます。ただ自走できる人よりは、絶対に「評価は低く」なります。それは端的に言えば給料が低くなる訳です。

成長のための「厳しさ」の要素

自分が環境を使う、という上に加わるのが「厳しさ」の要素です。

自分で自分を律することができる人であれば、組織における管理者はその人に必要以上の厳しさも管理も全く不要です。
しかし、性格的に「他者に指摘される」ことでやっと自分を律することができる人には、管理者からの一定の「厳しさ」と「管理」は必須になります。

しかし往々にして、前者の人は本来不要であるはずの「厳しさを求め」、後者の人が必要なのに「厳しさを避ける」傾向になりがちです。

全社の人は「自分を律する=自分に厳しくする」ことの重要性を知っているんです。なので、自分の不備を指摘してくれる、叱られるというようなことに、瞬間的な不快はもちろんありますが、それを受け入れる弾力性があります。
指摘を受け入れ、それを「じゃぁ、次はどうするか?」と考える智慧と知性があるので、成長が続きます。

しかし「自分を律することができない=自分に自分に厳しくできない」人は、他者から指摘されるのは「分かっているけど出来ないことを指摘される」状態になるので、精神的な負荷が高いため、それを受け入れることは自己否定をされる感覚が強いので、受けいれる弾力性がありません。
そのため、成長をする機会をどんどん放棄していってしまいます。

結果、成長格差がますます広がって行きます。これを10年も繰り返し、30代にもなれば、ほぼ取り戻すのは不可能なほどの差が広がっているはずです。

さらに記事にあるように企業側は法令として以前のような「厳しさ」は禁じられているので、結果としていよいよ会社の中は「ぬるま湯」になり、従業員側への「茹でガエルの法則」への突入を助長せざるをえなくなっているのです。 (自明ですがもちろんその厳しさに法令を無視したような「ブラック」な部分は除外しています。)

つまりは「ブラック」の排除はもちろん世情的には「良い」ことでしたが、結果として「誰にも叱らられないし、厳しくされることもない」世の中が生まれ、「成長はすべて自助努力」であり「成長しないのは貴方の責任」という時代になってきてしまった、ということです。

これは、果たして「良い時代」なのでしょうか、「酷い時代」なのでしょうか?

何にせよ成長は「自分の意志と判断」が起点

今が良い時代か悪い時代化は、10年後ぐらいに分かると思います。

ですが、今の時代、成長が自己責任になるのであれば、大前提として、自分自身の性質を、

  • 自らを律する=厳しくできる
  • 誰かに言われないとサボる

かの判断できなければ、そもそも成長は不可能だと思います。
この「自己分析」をする上で大事だと思っているのが「内省」で、僕が代表をしているサービシンクではコロナ禍前まで「坐禅研修」というのを行っていました。

坐禅研修の中身は下記の会社のブログの方に書いているのでご覧ください。


自分の性質がどちらなのかを理解した上で自分が会社で「会社」「上司」「仕事の中身」をどの様に使うのか、使うための行動をしているか?が積み重なってきます。

余程のことがなければ、どの会社も上司も「部下の成長」は祈ってやまないことです。少なくとも僕は自社のサービシンクにおいて何よりも優先度は最高ランクです。

何故なら、それが達成されrば会社の収益があがり、みんなの給料を「ベースレベル」で増やすことができるからです。ビジネスモデルの違いはもちろなりますが、仕事が「人」で行なわれている以上、「人の成長」以外に、会社の収益を増やす方法はありません。

その為にそれが厳しかろうと重箱の隅であろうと、必要であれば言うべきこと言います。
そしてそれを乗り越えてくれると信じてはいます。ですが、それを「負荷」と感知、そこから何かしらの「言い訳」をして逃げ、行動を起こさない事には救いようがないのもまた事実です。

仕事といってもプライベートもある訳で、個々人でさまざまな事情はあるだろうけど、成長している人にもその人なりに事情はあります。

結局は自分が「何を選択して、何を犠牲にするのか?」と判断していった結果が今なのです。

少なくともサービシンクではWebディレクターでもエンジニアでも「成長する」機会は絶対作ります。
ただその機会を「使わない」「使い方を思いつかない」「使い方は手取り足取り教えてもらうものだと考えている」人には、何をいったとしても成長することは難しいと思っています。

成長はキーワードですが、成長する主体は誰であり、それをどの順番で考えるか、というか「考えられるか?」ということが重要になってくると思います。

(このブログはX(旧 Twitter)のこのポストを再編集したものです)


名村晋治のプロフィール

Webディレクター 名村晋治

株式会社サービシンク

代表取締役 / テクニカルディレクター

名村晋治

1996年よりWeb制作に携わり、キャリア28年目のWebディレクター

2010年に不動産業界特化のWeb制作会社「サービシンク」を設立して、今も現場でディレクターとしてPMをしています。

詳しいプロフィール

大学在学中の1996年「Web制作集団ネイムヴィレッジ」を設立し100社を超えるサイト制作の企画、ディレクション、デザイン、マークアップ、システム開発に携わる。

2000年不動産検索サイトHOME'Sを運営している株式会社LIFULL(旧:ネクスト)に合流。
2005年からは都内のWeb制作会社に合流し取締役を歴任。同社ではフロント実装からディレクションまでを担当。

2010年東京のWeb制作会社・ホームページ制作会社、株式会社サービシンクを立ち上げる。 不動産業界に特化したサイト制作の、アートディレクション~HTML実装設計~システム設計のすべてに携わるジェネラリスト。基軸としてはクライアントの商売に寄り添う為に、徹底的に思考を巡らせる為のディレクションを行う。

Webブランディングの入門教科書」、「変革期のウェブ」を「マイナビ出版」から出版。

2000年から「Webディレクター育成講座」を独自開催し、40時間のカリキュラムを通し「仕事を回す事ができる」Webディレクター育成手法には定評があり。
首都圏のみならず地方でも講座実施、参加者は延べ700人を超える。 もう一つのキャリアとしてプロとして舞台俳優、声優。 1996年から養成所に通い始め2004年に廃業するまでの間はWebディレクターと二足のわらじでの活動。

俳優としては、東京の小劇場でシェイクスピアやマリヴォーといった古典を中心に舞台に出演、また声優としては大きく活躍できる程ではありませんでしたが、NHK海外ドラマや、洋画等、ゲームでの声優を行っていました。

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