Webブランディング

テレビでのWebサイト閲覧は一般的になるのか?!を考えてみた

先日結構びっくりしたニュースに、「テレビ版Yahoo!JAPAN」というのがありました。

これと同じくして、Yahooが日本のインターネット動画の老舗GyaOを子会社化したというのがありました。

現状のテレビでもYoutubeを見られる機種が出ているみたいですが、Yahooとしてこれらの施策を打ち出したのは、

「近いうちにテレビでインターネットを見られるようなって、テレビがテレビであるような映像コンテンツは、ネット上のYoutubeやGyaOやニコ動と境界線が無くなっていくのでは?」

と考えての手だと個人的に思っています。

実際現状でも、「テレビはみたいモノを録画しておいて、見たい時に見るモノで、わざわざ放映時間に見なくてもいいんじゃないの?」という人や「テレビは、その後どうせ誰かがYoutubeに上げるか、テレビ局が上げたりもしているから、パソコンで見ればいいんじゃないの?」という方が増えてきているそうです。

一方で、大昔通信回線が遅かった時には「取りあえずサイトの情報をあちこち巡回(場合によっては自動巡回ソフトなどで巡回設定を)して、ローカルマシンのキャッシュに取り込んで、その後から見よう」という事があったWebサイトの方で、Twitterのように「リアルタイムで参加しないとついて行けない」サービスが産まれ賛同されているのは不思議な流れだなぁ・・・とは思います。


閑話休題。
今日そんな流れからとあるお客さんから、「テレビ向けのWebサイトってどうなの?」的な質問をいただき、ちょっと真剣に考えて纏めてみたので、書けそうな所をここに残しておきたいと思います。

テレビ向けサイトですが、制作・開発側としては、現状で言えばWiiで見られる環境が一番近いイメージなのかなぁと思っています。

それを考えると、技術的な部分では、最終的に静的なHTMLを吐き出すのであれば、動的であろうがなんだろうかその仕組みはPHPでもJAVAでも大丈夫かと。
実際にはそのテレビに組み込まれているブラウザが何になるか?ということが問題になるかと。

逆にいいますと、Wiiを例に取れば、ブラウザの種類や、割り当てられているメモリや、それようにカスタマイズされている部分あどから、PC上のブラウザで見るそれよりはリッチなコンテンツは作りにくいと思います。

とはいえ、そんなものは結局は技術論なので、1年も経てば大きく変わってくるかと思いますし、そこはニーズ次第でしょう。
また逆に変わるのがもっとも難しいのは解像度の問題かと。

ちょっと調べてみたら、一般的なテレビの解像度って、


  • 640×480(VGA) 従来のスタンダードテレビ映像
  • 800×480(WVGA) ワイド映像
  • 1024×720(XGA)1024×768(XGA)、1280×720、1366×768(フルワイドXGA)他 ハイビジョン
  • 1920×1080(フルハイビジョン) フルハイビジョン

ってなってるんですね。

って事はハイビジョンでやっと最近のパソコンに近い解像度となり、その下はかなり低い解像度って事になります。

その為、テレビで見るWebサイトってのは、一画面目(ファーストビュー)で表示される情報量は自ずとPCに比べると少なくなってくるものだ、という前提で作っていく事が必要にはなるのかなぁ、と。


ただ作るとなったらそんな事は当然考える事だと思いますので、結構どうでもよくて、もっと大事なのは、名村はWebサイトっていうものは「サービス」だと思っているので、テレビ向けサイトそのものは、作る作らないよりも、それがどれだけPCに代替して利用されるような環境が整うか?によると思っています。
(要は、どれだけ良いサービスを提供していても、人通りが無い商店街で開店してもモノは売れないということです)

過去、リビングPCと呼ばれるようなパソコンは幾度も出ていましたが、未だに浸透した試しがありませんでした。
いや、世間的にリビングでソファーとかに座って膝の上やリビングテーブルの上で、一家団欒しながらパソコンを触っている・・・って普及していないですよね?(汗

普及しない理由って実は「リビングでキーボードとマウス」というのが(まだ)日本人の感覚に合わないからだと思ってたりします。

ただ、今回のYahooさんの発表の流れの中で結構今回大きい点は、テレビそのものにインターネットへの接続環境が組み込まれ、それを使うことを「一般的にしようとしている」ということだと思います。

今後地デジ対応のテレビの新機種にネットの閲覧が一般的な機能となっていき、アドレス(もしくは検索ワード)の入力とマウスジェスチャーの代替がテレビのリモコン(もしくはWiiコントローラーのようなインターフェースというか、テレビのリモコンにWiiコントローラーみたいな機能が付けば全部解決な気もしますが)で実用されるのであれば、普及の兆しはあるかと思って(YahooさんのGyao買収の話を)見ていました。

いっその事、テレビ側に、センサーバーの機能をディフォルトでつけてください(笑)


という事を考えると、もし現状で自前のサイトのテレビ用のページを作るとしたら、恐らく具体的な情報提供による効果よりも「もううちはテレビ用のWebサイト作ってますよ」的なブランディングの意味合いのが大きいと思います。

良くあるブランディングの手の「○○業界で一番最初」を狙うって為ですね。
なぜそうなのかは簡単で、閲覧する人(=環境)が整っていないためです。

かつ、テレビで見られるだけで結局は通常のインターネットであることを考えると、具体的にリファラーなどでどういった情報が取れるかはまだ知らないのですが、同じURLをPCで見た時とモバイルで見た時に切り替えているのと同じようにテレビのブラウザで見た時に切り替える、ってのがいいんだろうな・・・と思ったりしています。

わざわざテレビ用に別のURLでサイトを作っても、結局入り口はYahooになりそうだし(笑)、その検索結果を叩かれる事を考えればユーザーにとっては、それがPCで見ているのかテレビで見ているのかなんて全然関係無くて「自分の問題を解決する手段が自分がたどり着いたサイトで提供されているか?分かりやすい所にそれがあるかどうか」しか見てくれれないわけですから。

と考えていくと、果てしない夢のように言われている「ワンソースマルチユース」って事になっていくのかなぁ・・・・。
出来れば凄いですけどね、これ。
ただ、(テレビ用とレイアウトを区別してCSSなんかで制御をするのだとしたら)作り手側の管理は、PC用のレイアウトとテレビ用のレイアウトで何かしらコンテンツが増える度に倍考えていかないと行けないので、大変な時代になっていくだろうなぁ・・・と。

でも、結局それも技術論なので、この流れが進めば数年もすれば、テレビそのものに「映像を見るときとWebを見る時で解像度を変える」ってな機能が搭載されて、同じレイアウトで大丈夫!ってな事になりそうだと思っていますが。


もし具体的なテレビによるサイト閲覧の効果を考える場合には、Yahooさんの発表の例であったように、「テレビでインターネット」がテレビ番組を見るのと同じぐらい簡易にできるインフラ(テレビの機種)の普及が最終的にはキモになってくるだろうなぁ・・・と思いつつ、今後の動きは結構楽しみでもあったりするってことで、よく分からなくなってきましたが、今の感想を纏めてみました。


追記


と思っていたら、Gigazineでこんな記事がありました。

<a rel="nofollow external" href="http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20090414_tv_internet/">テレビとインターネットの立場が入れ替わる日は近い?</a>

名村書いたエントリーとそもそも的な話は違っているのですが、似通っている話題でもあり、「ネット」と「テレビ」という垣根がどう変わっていくか、という点では興味深いっすね。

追記2


ご意見というか感想のコメントを頂き(多謝)、お返しのコメントを書いていたらエントリーと同じぐらい長くなってしまいました(笑)

個人的にそれも含めてドンドコなんか考えが整理されていったので、是非また<a href="https://web-directions.com/director/index.php?ID=473#comment">コメント下さい</a>(笑)

名村晋治のプロフィール

Webディレクター 名村晋治

株式会社サービシンク

代表取締役 / テクニカルディレクター

名村晋治

1996年よりWeb制作に携わり、キャリア28年目のWebディレクター

2010年に不動産業界特化のWeb制作会社「サービシンク」を設立して、今も現場でディレクターとしてPMをしています。

詳しいプロフィール

大学在学中の1996年「Web制作集団ネイムヴィレッジ」を設立し100社を超えるサイト制作の企画、ディレクション、デザイン、マークアップ、システム開発に携わる。

2000年不動産検索サイトHOME'Sを運営している株式会社LIFULL(旧:ネクスト)に合流。
2005年からは都内のWeb制作会社に合流し取締役を歴任。同社ではフロント実装からディレクションまでを担当。

2010年東京のWeb制作会社・ホームページ制作会社、株式会社サービシンクを立ち上げる。 不動産業界に特化したサイト制作の、アートディレクション~HTML実装設計~システム設計のすべてに携わるジェネラリスト。基軸としてはクライアントの商売に寄り添う為に、徹底的に思考を巡らせる為のディレクションを行う。

Webブランディングの入門教科書」、「変革期のウェブ」を「マイナビ出版」から出版。

2000年から「Webディレクター育成講座」を独自開催し、40時間のカリキュラムを通し「仕事を回す事ができる」Webディレクター育成手法には定評があり。
首都圏のみならず地方でも講座実施、参加者は延べ700人を超える。 もう一つのキャリアとしてプロとして舞台俳優、声優。 1996年から養成所に通い始め2004年に廃業するまでの間はWebディレクターと二足のわらじでの活動。

俳優としては、東京の小劇場でシェイクスピアやマリヴォーといった古典を中心に舞台に出演、また声優としては大きく活躍できる程ではありませんでしたが、NHK海外ドラマや、洋画等、ゲームでの声優を行っていました。

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