Webディレクション

これはもう制作会社じゃない

ミツエーリンクス、客先に担当者が常駐するウェブサイト構築/運用サービスなんてニュースが出ていた。

よく読めば、もはや単なるWebMasterが先方会社に行って張り付いている、という、以前にはあった、「即時対応はしたいけど、社内にそういったスキルのある人も居ないから、(制作会社の)誰かを社内にしばらく置いておいてよ」的なものではない。

ディレクターからデザイナ、プログラマ、(恐らくマークアップエンジニアに至るまでだろう)までがその会社に常駐というのだから、その会社のWebの制作だけではなく、運用から効果を出す、という目的達成に至るまで、つまり一つの部所までの一切合財をミツエーが請け負うという事だ。

今やWebサイトの構築からその目的達成はその企業の単純な広告というものではなく、企業の売り上げの多くを担うメディアにまで成長している。
その中で、専門家に依頼をするというのは正解だろう。
現在も制作に関しては、自分も含め制作会社という位置づけが確実に存在をしている。

また10年前に制作業を始めた当時から個人的には大きな悩みだったが、担当者とのミーティングでは、どれだけ回を重ねようが、本質的なその会社の解決すべき問題は往々にして見えてこない場合が多い。

あるホテルのサイト制作をした時、一番の問題は現場のフロントのWebリテラシーだったのはもっともいい例だと思っているし、これまでのセミナーでも例に出してきた。

そんな中、その会社に常駐的に居る事ができれば、その会社の風土といったものや、リアルでのスキームの問題などもより見えてくる。
そこでその社内ではな人間ならば、社内政治などいった余計な気遣いをせずにきっぱりとした改善提案もしやすいだろう。

以前、フリーランスでしている時にディレクション兼プロデューサーとして、実際にその会社に常住を数ヶ月させてもらい、数Phaseに渡っての改善提案から制作までをしたことも実際にある。
(最終的にはその会社の人にディレクション講座を行い、ディレクションスキームの提供をして終わりにしましたが)


ただ、企業側としてはどうなんだろうか?
もちろん、契約上の上下といったものはあるだろうし、その会社の予算なども諸問題もあるにはある。
プロ中のプロを雇うのを考えたら自社でWebの専門チームを作ったとしても限界があるのは明らかだ。

けれども、いい悪いではなくて、根本的な自社の問題を自社の中で提示して、それを改善していけるスキームを持っていない、自社愛を持ったスタッフの居ない会社では、一体誰が誰の為に何を提供するのかがぼやけてこないのか?と少し不安にもなる。

また、これだけの人数を外部から常駐するコスト対価を提供するというのは、やはりミツエーリンクスならばなせる業なのだろうとも思えました。


※ミツエーリンクスには知人もいるので、誤解の無いように書いてはいるつもりですが、批判とかではなく、あくまで感想です。


名村晋治のプロフィール

Webディレクター 名村晋治

株式会社サービシンク

代表取締役 / テクニカルディレクター

名村晋治

1996年よりWeb制作に携わり、キャリア28年目のWebディレクター

2010年に不動産業界特化のWeb制作会社「サービシンク」を設立して、今も現場でディレクターとしてPMをしています。

詳しいプロフィール

大学在学中の1996年「Web制作集団ネイムヴィレッジ」を設立し100社を超えるサイト制作の企画、ディレクション、デザイン、マークアップ、システム開発に携わる。

2000年不動産検索サイトHOME'Sを運営している株式会社LIFULL(旧:ネクスト)に合流。
2005年からは都内のWeb制作会社に合流し取締役を歴任。同社ではフロント実装からディレクションまでを担当。

2010年東京のWeb制作会社・ホームページ制作会社、株式会社サービシンクを立ち上げる。 不動産業界に特化したサイト制作の、アートディレクション~HTML実装設計~システム設計のすべてに携わるジェネラリスト。基軸としてはクライアントの商売に寄り添う為に、徹底的に思考を巡らせる為のディレクションを行う。

Webブランディングの入門教科書」、「変革期のウェブ」を「マイナビ出版」から出版。

2000年から「Webディレクター育成講座」を独自開催し、40時間のカリキュラムを通し「仕事を回す事ができる」Webディレクター育成手法には定評があり。
首都圏のみならず地方でも講座実施、参加者は延べ700人を超える。 もう一つのキャリアとしてプロとして舞台俳優、声優。 1996年から養成所に通い始め2004年に廃業するまでの間はWebディレクターと二足のわらじでの活動。

俳優としては、東京の小劇場でシェイクスピアやマリヴォーといった古典を中心に舞台に出演、また声優としては大きく活躍できる程ではありませんでしたが、NHK海外ドラマや、洋画等、ゲームでの声優を行っていました。

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