ジム・リーランド監督にみるディレクション手腕
2006年10月22日
以前お世話になったWebディレクターに、「ディレクションの勉強のネタは同じ業界だけに転がっているわけじゃない」と、他のフィールドでも「ディレクション」に通じる内容には出来るだけ目を通すようにしているのですが、今日は野球の監督から。
日刊スポーツの「nikkansports.com BLOG」を見ていて、鉄矢多美子さんのメジャーリーグのタイガース監督、ジム・リーランドの事を綴った記事が目に入った。
第132幕 「勝つ、勝つ」と響く名将のスパイク
その中にとても興味深い言葉があった。
「監督として選手に要求することは“いかに勝つための準備をするか”であって、決して“試合に勝つこと”ということではない。私がいつもスパイクを履いているのは“勝つための準備を怠らない”ことにほかならない」。
正にディレクションに通じる言葉だと思った。
ディレクションは業務としては実際には手を動かして作るわけではない。(人材の問題で作る人は自分も含めていると思いますが)
そしてディレクションのミッションとは「どんな手段を使ってもそのPJを完遂させる事」であると思っている。
だからディレクター本人は「試合に勝つこと=仕事を完遂させる」ではあるが、スタッフに提供するべきは「仕事を完遂させる為の段取りをつける=いかに勝つための準備をする」事であろう。
その為に、クライアントとのヒアリングのフィードバックをし、「見える化」の為のドキュメンテーションをし、「なんとなく伝わっているかも・・・」を防ぐ為にMtgを行いコミュニケーションをとる。
練習が始まるといきなり内野のノックを始め、その後ぐるりと外野を1周。それもただの1周ではなく、フィールドにいる選手一人一人に声をかけ、必要だとみれば、そこでしばらく話し込むこともある。「オフシーズンに選手たちに手紙を送り、話し合いを持った。1番目の選手だろうが25番目の選手だろうが差別なく、同じ対応をすると彼らにははっきり伝えた」という。指揮官と選手とのゆるぎない一体感はこんなところから生まれている。
まさにこのことだ。
個人的には「作り手」である事が長くそこに居心地の良さを感じてしまうために、ついつい作り手としての時間が長くなり、こういった部分に専念できず、結果PJスタッフに迷惑をかけてしまっている事も多々ある。
ジム・リーランド監督の様に、自身のミッションとそれに対して注力すべき方向を明確にしていき、なかなか自分のメインたる業務だけに専念する事ができないのではありますが、優先順位をつけていくようにならなければ、チームが一丸となってそのPJに向かう環境はなかなか作れないのだ、と今更ながらに感じました。
個人的に日本ではタイガースファン。
同じく今年ヤンキース・アスレチックスを破り決勝まで駒を進めたメジャーのタイガースにも是非がんばっていただきたいと思います。