Webディレクション

Webディレクターとして日々成長して精進するために名村が考えている「先輩と目標」

メンターを持つということ

メンターを持つということ

今日の話は、あくまで「名村がWebディレクターとして」って話で、世間一般的な意味で「Webディレクターになるには」には当てはまらない事もあります。

ただ、名村がどうやってこの仕事を続けさせていただいているか?って意味では結構根源的なことだったりもします。

きっかけはセミナーで受けた質問なのですが、自分自身としてはとても大事にしていることなので、書き留めておこうと思います。

よく聞かれる「なんでそんなに(仕事ばっかり)してるんですか?」という質問

Webディレクション、Webディレクターに関するセミナーを講師をさせていただいて、そろそろ13年ぐらいになってきました。
いざ時間が過ぎると長いものですが、意外と名村のWebディレクター向けのセミナーでは昔から言っていることは殆ど変わっていません。

ただ、昔は今ほどソーシャルメディアがなかったので言われなかったのですが、最近はセミナー受講前とか、数日間のセミナーだったりすると、受けていただく方も講師の名前をググったり、FacebookとかTwitterとかもあって、名村の日常がなんとなーくバレたりしています。

そういうところを見れば一発で分かるのであえて隠しもしませんが、平日はお客さんとの酒席とかプライベートでの予定とかがなければ、概ね9時ぐらいから24時半ぐらいまでは事務所にいると思います。

そういうのをご覧になってなのか、最近よくセミナーの休憩中に受ける質問があります。

なんでそんなに長時間働いているんですか?
そんな長時間どうして働いていられるんですか?

というようなことです(笑)

まぁ、あんまり笑い事ではないでしょうし、逆説的に講師をしている僕への質問としては、これは今後のWebディレクターの方々にとっては、相当に切実な質問の場合もあると思います。
この質問は、質問をされる方の気持ちとして「楽観的」な側面と「悲観的」な側面があるからです。

比較的楽観的な気持ちで質問をされた方

  • そんなに仕事ばっかりして疲れないのかな?
  • いつ寝てるんだろ?
  • っていうか、それって社○じゃん(笑)

と、こういった感じだと思います。
では一方で「悲観的」な方は・・・

比較的悲観的な気持ちで質問をされた方

  • いやいや、Webディレクター養成講座の講師がそんな長時間働いているってことは、Webディレクターは長時間働かないとダメって事なんじゃないの?それは無理むりムリ・・・・

と、こういうことだと思います・・・・。

まずお断りしておきますね・・・・。

名村が在社時間が長いのは、ディレクター職以外の業務の時間がある、という理由がすごく強いです。

  • 会社の代表なので、いわゆる「社長業」的なことをしている。
  • 人数が少ない会社なので、しばらく前までは経理的なこともしていた。
  • 一人経営者の会社なので、会社的なジャッジは一人でしないといけないので、いろいろ思案する時間も必要。
  • いわゆる営業も名村が一人で行っている。

そりゃ、「仕事を断る」ってことをしなければ、必然的に時間が足りなくなりますよ。
ただ、やっぱり小さな会社の代表としては、ご依頼をいただいた仕事には可能な限り「どうやれば出来るか?」という方向で考えていくので、ご依頼をいただけている限り、時間が足りなくなっているだけです。

なので、間違えてもらいたくないのは、

ディレクター職は長時間の労働が必須ということではない!!

ってことです。
別にこの歳になって、

つれー 昨日実質一時間しか寝てないからつれーわー
俺ってそんなに寝てないイメージある?
えーそんなに?俺2時間しか寝てないわ

というような「地獄のミサワ」のような事をいいたいわけではありません(笑)
(でも、20代のころはありました・・・えぇ、恥ずかしながら・・・(笑))

Webディレクターを目指す上で、それでも知っておいてもらいたいこと。

名村は別に長時間働いたらいいものが出来るとも思っていません。
この仕事はじめて17年、毎日のように定時で上がることを考えていますから。

ただ、少なくとも名村が時間を気にせず働けている理由としては、

  • もの作りをしている以上、最後の最後、どこまで考えられるか?はやっぱり結果に出てくる。
  • モノ作りをする上で、目指すべき・目標とするべき人がいる。

ということがとても大きな要素だと思います。
そしてもう一つの大きな理由は、

役者という「モノ作り」の世界にいた経験

前者は企画を考えていてもHTMLを書いていても、常に「もうちょっと考えれば・・・」という思いが有ります。
これは常にそれと戦っていないとやっていることは「終わらせることが目的」の「作業」になるんだろうと思っていますし、かといって「時間が無限」にあったとしてもいいものが出来るわけではないので、多分ずーっとつきまとう感覚でしょう。

ただ、この感覚を比較的早く持てたのは、名村が役者をやっていたという経験がとても大きいと思っています。

役者というのは、稽古場では演出の前、そして本番でお客さまの前、もしくはアテレコ・アフレコではモニターの前で演じられたモノ以外は一切評価されません。
そこに「いや、自分はこう持って演じていた」という演技そのものへの想いは一切入る余地がありません。

となると、「練習」ってのはどれだけやっても「足りない感」があるわけです。
もう本番というのはある観点においてはその「足りない感」と「でもここまでやった感」との戦いです。

今の仕事について、デジタルとはいえモノを作っている中で、僕の中にはその時の感覚がかなり根強く残っています。

ですので僕にとって、結果的に「役者・声優になる」という夢は破れたものの、「演劇」という無形のモノ作りをする現場になんだかんだで10年近く居られたことは、今の自分の「Webディレクター」という職域においてとても大事な要素になっています。

一方で、これは極論すれば名村にとって「長時間でも仕事が頑張れる」という原動力にはなっていません。
というのは、名村自身は、自分自身には極めて「甘い」人間だからです。

目標となる先輩や友人をもつことが出来るのか?ということ。

恐らく名村が比較的長時間の仕事になっても頑張れている根源的な原動力はこちらです。
それは、

  • こういう風になりたいという目標になる人
  • こんな仕事をしている人になりたいと思える人

と思える先輩や友人がいるってことだと思います。

比較的あちこちのセミナーで言っているし、昨夏のWebSig24/7のセミナーでも本人達が客席にいるとき名前を出して言っているのですが、名村にとってこの仕事をしているいく上で、この業界に2名、常に目標にしている人がいます。(実際はあともう一人いるんですが、その方はマルチとは言え、職域が主にデザイナー寄りなので、名村にとってはあまりに近寄れない感があるので・・・ふせておきます(笑))

この二人については、名村は勝手に、あくまで勝手にですが、

名村の1.5倍の時間、倍の密度で仕事をしている。

と感じています。

「1.5倍の時間、倍の密度」ってことは、1日過ぎる度に3日分先に進まれてしまう訳です。
となると追いつく術はほぼ無いわけです。

もちろん現実がどうかは分かりません。
でも、やっぱりTwitterやFacebookの動きを拝見していると、当たらずも遠からず、時間はアレかもしれないけど、考えている深さ広さはやっぱりかなわないなぁ・・・と思う訳です。

その二人を目標に持って多分8年位たちますが、常にそういうった方の影とか背中を意識したら「これでいいか」と思うことは必然的にできなくなるわけです。

そういう「誰かに負けたくない」という意地だけは昔からバランスが悪いくらい強かったので、その意地と追いつきたいという想いの中で、今の働き方になっているのだと思います。

自分の目の高さをどこに持っていくか?

僕は以前の勤め先でも、外のセミナーでも「自分が目標足りえる人を持ってもらいたい」「それは自分が務めている会社を越えても構わない」「今いる場所で自分が出来るできない程度ではない」ということをよく言っていましたし、言っています。

今いる場所を否定するわけではなくて「もっと上はあるのではないか?」という意識をこの仕事をする上では持ってもらいたいってことです。

人間ってのは基本「易きに流れる」動物です。
先日の「Webディレクターとして『茹でガエル現象』に陥らない事の重要性」でもそのことは書きました。

だからこそ、極論「絶対辿り着けそうもない」でも「なんとかしてそこに辿りつきたい」と思える目標を持つことは、自分のスキルアップにおいて何より重要なのだと思っています。

それがなければ「まぁ、これでいいか・・・」という思いとの戦いにしかなりません。

長時間事務所にいるのはあくまで「結果」です。

再度誤解のないように言いますが名村が結果として長い時間事務所にいるのは「社長業があるから」ですからね(笑)

でも、比較的長く事務所にはいると思います。
その本質はあくまで「もうちょっと煮詰めたいな」というのが源泉です。
そしてそれは更に「○○さんだったらどうするだろう?もっといいアイデアを出してくるはずだろうなぁ・・・」という思いが常に傍らにあります。

もちろん「長い時間やればいいアイデアが出る」というのはイコールではありません。
でも、名村は「短時間でいいアイデアが出せるほど才能がない」し「短時間で思考をまとめあげる才能もない」んです。

だから「考えて考えて考えて考えて・・・」って思考をまとめるために時間を使う以外にないんです。(もちろんそれとは別で「思考法」とかの方法論やスキルは身につけようとしていますよ)
名村には全く才能がないので、人並みの結果を出すために、結果的に時間が長くなっているだけです。

これ自体は今の会社だからとかって訳ではなくて、以前の会社でも同じく思っていましたし、強制をされる訳ではく自らが自らの「目標とする人との彼我の差」を考えてやっていることです。

目標と思える人に出会えたことと、そういった人とお付き合いができている幸せ

僕がWebディレクターをやっていて、幸せやな〜と思えるのは、先ほど記載したような「目標と思える人」と出会え、今も飲んだりバカ話したりすることが出来ることです。

こういった人と出会えなければ、僕はある世界の中で「オレのが出来る」「なんでこんな時間働かなあかんねん」という思いだけが強い人間になっていたでしょう。

という事で、結果的にはこれは自分が成長していく、という意味では「Webディレクター」に限らない話なのだと思いますが、日々の仕事に追われる時に、自分が「なぜ仕事をしているんだろうか?」「自分がどうなりたいのだろうか?」ってのを考えてみると、今後の成長曲線ががばっ!と変わってくると思いいます。


名村晋治のプロフィール

Webディレクター 名村晋治

株式会社サービシンク

代表取締役 / テクニカルディレクター

名村晋治

1996年よりWeb制作に携わり、キャリア28年目のWebディレクター

2010年に不動産業界特化のWeb制作会社「サービシンク」を設立して、今も現場でディレクターとしてPMをしています。

詳しいプロフィール

大学在学中の1996年「Web制作集団ネイムヴィレッジ」を設立し100社を超えるサイト制作の企画、ディレクション、デザイン、マークアップ、システム開発に携わる。

2000年不動産検索サイトHOME'Sを運営している株式会社LIFULL(旧:ネクスト)に合流。
2005年からは都内のWeb制作会社に合流し取締役を歴任。同社ではフロント実装からディレクションまでを担当。

2010年東京のWeb制作会社・ホームページ制作会社、株式会社サービシンクを立ち上げる。 不動産業界に特化したサイト制作の、アートディレクション~HTML実装設計~システム設計のすべてに携わるジェネラリスト。基軸としてはクライアントの商売に寄り添う為に、徹底的に思考を巡らせる為のディレクションを行う。

Webブランディングの入門教科書」、「変革期のウェブ」を「マイナビ出版」から出版。

2000年から「Webディレクター育成講座」を独自開催し、40時間のカリキュラムを通し「仕事を回す事ができる」Webディレクター育成手法には定評があり。
首都圏のみならず地方でも講座実施、参加者は延べ700人を超える。 もう一つのキャリアとしてプロとして舞台俳優、声優。 1996年から養成所に通い始め2004年に廃業するまでの間はWebディレクターと二足のわらじでの活動。

俳優としては、東京の小劇場でシェイクスピアやマリヴォーといった古典を中心に舞台に出演、また声優としては大きく活躍できる程ではありませんでしたが、NHK海外ドラマや、洋画等、ゲームでの声優を行っていました。

最新の記事

Webディレクター育成講座

900人が受講をし、28年のキャリアを学べる『Webディレクター育成講座』