Web標準時代のwebディレクターの役割:3
2006年02月03日
そして、マークアップエンジニアである。
Web標準がそのままイコールCSSレイアウトである、というのは大きな間違いだ。
ただ、HTMLをWeb標準に則り、文章を論理構造を明示する為のものと捕らえるならば、デザインはCSS側によって制御していかざるを得ない。
W3Cが遥か90年代に文書構造とデザインの切り分けを謳っていながらも、制作の現場がテーブルレイアウトの流れていった時代は不幸だった。
そして今CSSによるデザイン制御が騒がれる時代になった今、これまでコーダーと呼ばれていた人たちはマークアップエンジニアにならなければならない。
これは「コーダー」がHTMLをブラウザでデザイナーの提出したビジュアルを再現する事だけを行っていたのに対し、そのデザインの要素から文書構造を考え、それに従った、本来の意味での「マークアップ」を行っていかなければならなくなった事を示している。
そして、エンジニアの際に言ったとおり、それは本来の意味でよりプログラマライズされており、単にコード化するだけのコーダーではなく、マークアップを行うエンジニア(技術者)なのだという事を自身が認識していかなければならない。
では、そこに至って何が求められるのだろうか。
・正確なHTML、XHTMLの仕様の理解
・サイトの要素への論理的な見出しつけ
恐らくこれが求められることであろう。
恐らくこれが出来ればWeb標準に則ったサイト構築は概ね出来るはずである。(これはWeb標準に「これだ」という答えがない事を前提としている)
その際に、今やっかいなのは「アクセシビリティ」「ユーザービリティ」の問題である。
これをWeb標準と混同して考えてしまう人が非常に多い。
Web標準とアクセシビリティ・ユーザービリティの確保は本来別問題である。
ただ、Web標準に則っていれば、その両者を満たしやすい、というだけである。
つまり、Web標準だ!と言ってマークアップを行っていく際に、WEB-JISや、WCAG1.0(現在2.0のWDが作成中)に捕らわれすぎ、準拠する事が目的になっているサイトを時々見受ける。
これはこれでいい事なのではあるが、本来のWeb標準とは別と考えるべきである。
極端に言えば、テーブルでも読み上げ順を明示していけば、音声ブラウザなどで、サイト運営者側が意図した情報の提供は可能でありながら、テーブルレイアウトでサイトを作る事が出来るのだ(これはテーブルレイアウトでページを作るのが悪と言っているわけではない)
そうではなく、あくまで今後HTMLを作成する人は、文章としての論理構造を把握し、それに従ったマークアップを行っていける能力がまず必要であるということだ。
その上でコーダーと呼ばれる人が、HTMLをつくり、それがブラウザ上でデザイナーの要求したビジュアルを再現出来るものになしえる、というのが作業であった以上、今後マークアップエンジニアは、論理構造を明示したHTMLがWebブラウザ上でやはりビジュアルを再現出来る能力が必要なのは言うまでもない。
今後、(誤解を恐れず言うならば)クライアントから、「テーブルレイアウトで作って欲しい」といわれ、「出来ません」と答える制作者がいないのと同様に「デザインはCSSで制御してね」と言われて「No」と言えない時代が来るのは明らかだ。
今コーダーと呼ばれていた人たちはドラスティックな変化の中にいる。
これを認識し、日々の作業で忙殺されている中で、いかにそのスキルを身につけていくかが、今後の生き残るか否かの分かれ目となっていくことだろう。