Webディレクション

3年後のWebディレクターを目指し考える時期が来ました。(追記あり)

Webの業界で、「Webディレクター」という仕事について、12年ぐらいになります。
そんな職域ですが、最近ひしひしと感じてきていることがあります。

「Webディレクター」という仕事ですることと、しなくてはならない事が、この2〜3年ぐらいの間でドラスティックに変わってくるのではないか?ってことです。

Webディレクターという仕事が何をする事を意味するのかは、各会社ごとに異なっているかと思います。


  • 進行管理をする人。
  • クリエイティブを見ている人。
  • 企画を立てている人。
  • コスト管理をしている人。
  • クライアントワークをしている人。

こういった人が「Webディレクター」と呼ばれる役職の担う業務(の一部)であることは間違ってはいないと思います。
しかし、Webの制作現場での分業がこの3年程度をみているだけでも、大きく進んできている中で、これまでのWebディレクターのあり方では、なかなか自分の賃金には返ってくることは無くなってくるだろうと思っています。


これと同じようなことを思っていたのは丁度2004年ごろ。
Web-JISが制定され、WCAGとかの存在が一般的になってきて、その結果として、CSSレイアウトに火がつき始めたときに、


Tableレイアウトしか出来ないコーダー(←当時はこの呼び名が一般的でしたね)は仕事にならなくなるのではないか?

と感じました。
その思いは当時の上長に伝えていたりしましたが、今も昔も含めドッグイヤー(死語)な勢いで技術体系が大きく変わるWebの世界において「その技術も半年も経ったらどうなるか分からないのと違う?」という事で一蹴に付されました。

ただ、自分自身の中で怖さから当時、セミナーに通い、出来るところからCSSレイアウトを実装していき、自分自身の中にノウハウを貯めていき、05年に前職を出て、今の会社にくる前後に、今の一線の人たちほどではないものの、ある程度のCSSやHTMLにマークアップについての技術を体得できたと思っています。

そしてそれから3年経った今、CSSレイアウトはもはやページのマークアップをする上で、当たり前の技術になっていて、テーブルレイアウト「しか」出来ない人は、クライアントからのいくつかの要件を満たせない場合が出てきているかと思います。
(もちろん、案件や規模、予算といった条件からテーブルレイアウトで制作することそのものが今も普通にあることとは思います)


話をもどしまして、2004年頃に「マークアップエンジニアとしてのこれから3年後」について感じた恐怖と同じようなものを、今「Webディレクター」という仕事に携わっている中でヒシヒシと感じてきています。

その裏付けはもちろんあります。


  • Webといっても、言ってしまえば「製造業」の面がある以上、90年代とか5年ぐらい前を見ても制作単価はどんどん下がってきている。
  • アプリケーションのレベルの向上、CMS、無料のWebアプリケーションなどがあらゆる側面でカバーしつつある現状
  • 日本の企業の中でも、制作コストが低い海外に、制作部分を投げ始めている所がある。

などを考えると、今は人間がやっているけど機械的に出来る部分と、「人間がやらなくてはならない部分」は今よりもっともっと分かれてくるだろうと。
そしてその時に、制作会社がクライアントからお金をもらえる部分というのは、今やっているような事ではなくなってくるだろうと言うことです。

その結果として、自分自身の仕事のあり方というか携わり方というか、自分自身の付加価値といった部分は、今のままでは全然ダメだろうと思う訳です。


今の日本のWebサイトに何となく漂っている停滞感というか倦怠感というのは、言ってしまえば、マスメディアでやっていたことをそのまま持ってくることしか出来なかった広○代○店にある程度の原因があるのかと思っています。
これはそのまま我々制作の現場にいる人間が、その広○代○店の発想を超えるモノを作れた人間が少なかったことに返ってくることでもあります。

その意味ではその枠を超えられている海外では、地方官公庁的なサイトでも、日本から考えると極めてアバンギャルドなサイトがたくさんあったり、コンテンツで何かしら驚きを与えたりする事を考え抜いている中村勇吾さんらが手がけるサイトってのは、極めて「Webらしい」サイトだなぁ・・・・と激しく思う訳です。


その「Webらしいなぁ」というモノが、これから3年間、急激に求められてくるのではないかな?と思っています。
正確に言うと、マスメディアの一翼的な扱いのサイトとの両極化していくのではないかな?と思うわけです。
(Webは、告知機能が欠落しているので、マスメディアではないと思っていますが)


制作費は、やっぱり事業会社側から見たときには安ければ安い方がいいと思います。
一方で、かけたコストを超える見返りが期待できるのであれば、極論で言えば予算はいくらでもだしてもらえるものだとも思います。
その時制作をするWebサイトの目的によって、この考え方が分かれてくるだろうと言うことです。


これが一つの答えかも知れません。
つまりは、


存在することに意味のあるサイトを作る方に回るのか、その中身が醸し出すものに意味があるものを作る側に回れるのか。

後者は要は「企画力」と呼ばれるものなのかもしれません。
前者でいる限り、製造業としての限界がいつか出てきて、数をこなす事でしか売り上げをあげにくくなってくると思います。
一方で、Web制作に携わっていてWebらしさが分かっている人が、マスメディアではないWebによるWebらしいコンテンツを生み出せる人、もしくはチームや仲間から引き出すことで生み出させることが出来る人、というのが、これから必要になってくるのだと思います。


その意味では、広告やマーケティングを知っている広○代○店の人たちとの差別化は、やっぱり「Webってなに?」って部分を自分なりの答えとして持てる事でしょう。
そして、「ユーザーってなに?」「お客さまの心はどこにある?」「商売ってどういうこと?」「なぜそれにお金をだしてくれるのか?」って「商売」を考えられていて、そこに何かしら答えを出せることなのかもしれません。

これからの3年間、恐らくWebサイトのあり方、それを作る上での上流工程に関わるWebディレクターのあり方ってのはドラスティックに変わってくると思っています。
あくまで名村が個人的に思っていることではありますが、まだ3年後には自分がWebの世界の作り手側に携わっていたいと思っています。

その時の為に、日々ありがたいことに沢山のお客さまから可愛がっていただき、多くのサイトやシステム構築に携わらせていただいてはいます。
(まだまだ業種問わず、ご用命はどしどし受け付けております!!)

もちろん、10年もやってきてい「まだこれだけかよ、自分の実力が」と思う事は多々あるのではありますが、そんな中でも、自分自身の次の必要なスキル、次のステージを冷静に考えて、日々を過ごしていきたいと思います。


追記です〜(10月1日)


サイトのリファラーを見ていたら、このエントリーに真剣に考えてくださっている方がいらっしゃいました。

今後のwebディレクションと製造業
(泥臭いWEBの底から〜WEBディレクター覚書〜)


もの凄いびっくりして思わずコメントを書いてしまったのですが、このエントリーは名村の中でももやもやしているものでした。

そんなまとまっていないエントリーに真剣に考えていただけてのけぞってしまいそうになったのですが、そのエントリーを拝見して、自分自身のこのエントリーを書いた根底がちょっとまとまってきた感じがあります。

それについては、続きとして、近いうちにエントリーを上げさせていただきたいと思っています。

hamkatsu様、ありがとうござます!!
そして、是非トラックバックとかコメントください!(笑)

著者・名村晋治のプロフィール

名村晋治

株式会社サービシンク

代表取締役 / テクニカルディレクター

名村晋治

1996年よりWeb制作に携わり、キャリア25年目のWebディレクター

大学在学中の1996年「Web制作集団ネイムヴィレッジ」を設立し100社を超えるサイト制作の企画、ディレクション、デザイン、マークアップ、システム開発に携わる。

2000年不動産検索サイトHOME'Sを運営している株式会社LIFULL(旧:ネクスト)に合流。
2005年からはWeb制作会社に合流し取締役を歴任。同社ではフロント実装からディレクションまでを担当。

2010年東京のWeb制作会社・ホームページ制作会社、株式会社サービシンクを立ち上げる。 不動産業界に特化したサイト制作の、アートディレクション~HTML実装設計~システム設計のすべてに携わるジェネラリスト。基軸としてはクライアントの商売に寄り添う為に、徹底的に思考を巡らせる為のディレクションを行う。

Webブランディングの入門教科書」、「変革期のウェブ」を「マイナビ出版」から出版。

2000年から「Webディレクター育成講座」を独自開催し、40時間のカリキュラムを通し「仕事を回す事ができる」Webディレクター育成手法には定評があり。
首都圏のみならず地方でも講座実施、参加者は延べ700人を超える。

詳しいプロフィール

もう一つのキャリアとしてプロとして舞台俳優、声優。 1996年から養成所に通い始め2004年に廃業するまでの間はWebディレクターと二足のわらじでの活動。

俳優としては、東京の小劇場でシェイクスピアやマリヴォーといった古典を中心に舞台に出演、またNHK海外ドラマや、洋画等、ゲームでの声優を行っていました。

俳優時代の経験を活かし、演劇の訓練メソッドを利用した「コミュニケーションスキル」向上を目指したセミナー・研修も実施しています。

最新の記事